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▲左から、道子11歳、武子13歳、お梅11歳、松恵16歳

『親なるもの断崖』は、メインヒロインが『お梅』、サブヒロインが『武子』となります。

松恵はすぐに首をつって自殺してしまいます。

道子は第1部の中盤で亡くなります。

今回は『道子』に焦点を絞ってネタバレ紹介いたします。

親なるもの断崖~目次~

第1部:(お梅武子道子
第2部:(道生):(お梅・武子)




不器量で使い物にならない

松恵、お梅、武子と共に売られてきた道子。

女将に、自分も芸者になれるか、と聞きますが、帰って来た言葉は冷たいものでした。

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道子は、下働きをさせることになります。

女郎にあこがれる道子

表で働くことなく、裏方として働く道子。

いつも疲れてお腹を空かせています。

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道子は下働きのまま3年の月日が流れました。

3年たっても下働きのままです。道子は辛くて辛くて仕方がありません。

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道子はお梅に、女将さんに女郎になれるよう頼んでほしいと必死に泣きつきます。

道子は病気で長く生きられない

道子を女郎にしてもらえるよう、女将にお願いするお梅。

しかし、女将はそれを受け入れてくれません。

そして、女将は思いがけない事実を話します。

道子は病気で長く生きられないというのです。

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お梅は、大変なショックを受けるのでした。

山羊楼へ行った道子

ここでは女郎にしてもらえないと悟った道子は、望んで山羊楼へ売られていきます。

山羊楼とは、あばら屋に女郎たちが土ベタにゴザをひいて座って客寄せする『女郎のタコ部屋』と呼ばれる場所です。

環境は最悪だと言わざるをえません。

例えそうだとしても、道子は、どうしても女郎になりたかったのです。

葛西の公衆便所

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幸せか 道子

やさしい やさしい
醜女の女郎を おらは忘れないぞ

だから お前も
おらのこと 思い出せ
あの故郷の空を忘れるな

いつか帰るべ道子・・・・・
きっと・・・きっと帰るべな 道子

悪くなる一方・・・・・

お梅は、使いを出し道子の様子を見に行ってもらいます。

衛生面が悪く、持って行った着物は異臭を放ち、もうドロドロで着ることはできませんでした。

服がなく、御座を体にまく道子。

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道子は病魔が体を蝕みはじめ、目がかすんでよく見えません。

土間のすみっこの方で、ただぼうっと座っているだけでした。




聡一、お梅、道子の3人で逃亡・・・そして・・・

政治犯として捕まりそうな聡一とお梅は、逃亡する決意をします。

お梅は、道子も一緒に連れて行こうとします。

『帰るんだ、道子』
『おらといっしょにあの故郷へ』
『道子とおらと聡一さんと三人で行くんだ!』

しかし、道子の体はもう限界に達していたのです。

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道子を引きづりながら、聡一との待ち合わせの場所へ向かうお梅。

待ち合わせ場所の断崖で聡一が来るのを待ちます。

しかし、道子は血を吐きます。

もう、梅子の命は風前の灯火だったのです。

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『この非国民!!』

そこに現れたのは、お梅を追ってきた愛国心の高い男。

道子をナイフで突き刺し、断崖から海へ突き落します。

道子は夜の海の中へと吸い込まれていきました。

男は、それがお梅だと勘違いして、道子を殺してしまったのです。

あらためて、お梅を殺そうとする男でしたが、他の仲間に止められ、お梅は捕まってしまうのでした。

◆感想◆

とても辛く悲しい人生です。

道子は、自分の容姿が醜いため、女郎にならなければ男をしることもなく人生が終わってしまうと考えていました。

その為、女郎になることは、道子にとっては、さほど不幸ではなかったのかもしれません。

売られた時、安い値しかつかなかったと、親からも『親不孝者!』と罵倒されるのですが、道子は親を恨んだりしませんでした。

最後は、田舎の両親のことを思い死んでしまいます。

登場キャラの中では、最も優しい心を持つ少女だったかもしれません。