◆8月アウトロー◆

1巻(1話2話・3話・4話・5話)

◆キャラクター紹介◆

◆日高悠昴(ひだかゆうごう)

野球をこよなく愛する少年。8歳からアメリカで生活するも、アメリカの野球ではピッチャーには球数制限があり納得できずにいた。日本の野球では無いことを知り、雑誌で知った『帝釛高校(ていこくこうこう)』に興味を持ち、日本の高校に行くことにするのでした。

◆やさぐれた野球部員達

もともとは野球の特待生として入学してきたものの、野球部の存続が難しい状況になって以降はやさぐれてしまい、一切野球をやらなくなってしまった。

◆鬼木利一(おにきりいち)

野球部のキャプテン。部員のみんながやる気を取り戻して野球を始めることを望んでいる。




アメリカのユーゴー

アメリカのペンシルバニア州。

14歳にしてものすごい球をほうる日本人ピッチャーがいた。

彼の名前は日高悠昴(ユーゴー)14歳。

優勝候補と言われていたタイガース相手に、ノーヒットノーランを達成しそうな勢いのピッチングが続きます。

スカウト達も、ユーゴーのピッチングに興味津々です。

球数制限で交代

来た・・・この感覚・・・!!!

回を追うほど、投げれば投げるほど
肩と肘と手首が一つになって熱をおびていく

次はもっと速く、もっと熱くなれる!!

次のバッターは君か・・・・・
見てろよみんな
見てろよそこの知らねぇ鳥

俺にはわかる
次の球が・・・・・

渾身の一球を投げようとしたその瞬間・・・・・、タイムがかかります。

そして、ユーゴーに駆け寄る監督。

球数制限で交代です。

アメリカの野球では、14歳は1日95球までとルールで決まっています。

ユーゴーはまだマウンドから降りたくはありません。

必死に粘るのですが、結局、担ぎ上げられて強制的に交代させられるのでした。

アメリカの野球の球数制限

結局、ユーゴーがマウンドを降りたことで試合は負けてしまいました。

ユーゴーは悔しくてたまりません。

監督はユーゴーに、目の前の事だけでなく、先のことを考えろと言います。

アメリカでは
・8歳  :1日50球
・14歳  :1日95球
・17歳以上:1日105球
・プロ  :1日100球前後
で代えられると決まっています。

それがベースボールだと。

しかし、ユーゴーは納得がいきません。

95球では、まったく足りないのです。

日本の高校野球には球数制限が無い

監督は、とある野球雑誌をユーゴーに見せます。

帝釛高校
・日本の高校野球の名門校
・部員は100名近く
・1日9時間の練習
・練習は1年365日

帝釛のエース『上条』
・MLBからも注目されていた投手
・甲子園の10日間で5試合672球を投げる
・肘を故障し、長いリハビリ生活を送っている

監督は球数制限のない危険性を語っていたのですが、そんなことはユーゴーには届いていませんでした。

『甲子園には』
『球数制限が無い・・・!!!!』

ユーゴーの心は強く惹かれるのでした。




帝釛高校へ入学

それから半年後・・・・・。

ユーゴーは日本へやって来て、帝釛高校に入学することになります。

真っ先にやってきたのが、歴代の優勝旗が飾られている場所。

そこでは、野球部員らしき人がガラスを丁寧に拭いていました。

ハイテンションで優勝旗のことを野球部員に聞くユーゴー。

野球部員は、丁寧に優勝旗のことを説明してくれました。

なんで帝釛なんかに来ちゃったの!

ノリノリで野球のことを語るユーゴー。

しかし、いまいち話がかみ合いません。

ユーゴーは、自分は日本で野球をするためにアメリカからやって来たと説明します。

しかし、その話を聞いて、鬼木はいいます。

『どっ・・・どうして!?』
『なんで帝釛なんかに来ちゃったの!』

そう言って、申し訳なさそうな顔で去っていくのでした。

野球部の部室

気合入れて野球部の部室へやって来たユーゴー。

しかし、部室の中はとても野球部とは思えない場所でした。

そこでユーゴーはアメリカから野球をしにやってきたことを伝えますが、からかいに来たと先輩たちに判断され、ぶん殴られます。

さらに、敬語を使わずに調子に乗った発言をすることで、また殴られてしまうのでした。

野球部員は一人だけになってしまった

殴られて意識を失っていたユーゴーは、野球部の専用グラウンドで目を覚まします。

そこで野球部の鬼木は、現在、野球部員は自分一人だけだということをユーゴーに話します。

話は2年前にさかのぼります・・・・・。

帝釛は夏の甲子園で、エースが5試合で672球も投げ、肘を壊してしまいました。

将来有望な一人の選手を潰してしまったことを、世間が許さなかったのです。

あらゆるメディアから袋叩きとなり、日本中から非難されて、帝釛は野球部どころか、学校の存続が危機に陥る状況にまでなってしまいました。

その為、学校側は特待生制度、専用寮を撤廃し、監督コーチ陣も辞任。

残った部員もほとんど退部や転校で、結局、鬼木一人しか残らなかったのです。

その話を聞いて、ユーゴーは何だかうれしくなりました。

たかが野球のことで、鬼木も、部室にいた皆も、人生が終わったかのような顔をしています。

ユーゴーは、必ずここで甲子園を目指すと、鬼木に宣言するのでした。

ユーゴーの挑戦状

ユーゴーは、野球室の部室に戻ってきます。

そして、窓の空いている隙間をめがけて全力投球!!

いきなりボールが部室の中に投げ込まれ、怒って出てくる先輩達。

『テメーさっきの一年か!!』
『何のつもりだコラァ!!』

そういう先輩たちに、ユーゴーは言います。

『甲子園に行くつもりに決まってるでしょう!!!』

甲子園などどうでもいいという先輩たちに、ユーゴーはとんでもないものを持ち出してきました。

さすがに、先輩たちの優勝旗を勝手に持ち出されて怒りをあらわにする榊たち。

ユーゴーは優勝旗を返す条件として、自分と野球で勝負してほしいといいます。

そして、自分に『甲子園』というものを教えてほしいと頼むのでした。