若竹アビシさんの漫画作品。
単行本1冊の全13話で完結となっています。
内容は、対人恐怖症気味の主人公『円山笑(女)』の職場内での話を描かれています。
人付き合いが苦手で、要領も悪く、皆から嫌われてしまっている・・・・・。
そんな円山の苦痛な日常を描くストーリー・・・・・と思いきや、急展開で、職場の人間のほぼ全員が『ブタ人間』となってしまい、それから逃げ惑うストーリーとなってしまいます。
自分を襲ってくる豚人間を相手に、円山の命がけの戦いが始まります。
以下、簡単に要所要所を説明していきます。
人付き合いが苦手で、仕事のできない主人公
主人公である円山は幼いころから人付き合いが苦手でした。
社会人となり、仕事を始めても友達が出来ず、そして要領が悪いため怒られてばかりです。
飲み会に誘われてもまったく楽しくありません。早く帰りたい・・・・・早く帰りたい・・・・・そんなことばかり考えていました。
ある日、いきなりブタ人間!?
そんなある日、いきなり会社の人間が『ブタ人間』になってしまったのです。
円山は、いきなりの出来事に驚きます。
ブタ人間は一人や二人ではありません。職場のほぼ全員がブタ人間になっていました。
暴力的であり、力も常人の人間よりもはるかに強く、そしてブタ人間ではない者を見つけると襲い掛かり殺そうとします。
そんな中、人間のままであった『稲積』『白石』『東』などと出会い、一部協力の元、何とかその危機を乗り越えていきます。
最終的に、『ブタ人間』となった職場の人間たちは、完全な『豚』となってしまいます。
このおかげで、円山はなんとか命だけは助かることが出来ました。
結局、ブタ人間とはなんなのか?
ブタ人間たちに襲われている時、自分を助けてくれた『東』。
実は彼がウィルスによってブタ人間を作り出した実行犯だったのです。
もともと研究員だった彼は、危険なウィルスを研究していたことから、事実上の追放を受けてしまいます。
それでもなお研究を続け、完成させたのが『ブタ人間のウィルス』だったのです。
東は研究の成果として、職場の人間全員をブタ人間にしてしまおうとするのですが、ボッチの円山だけは自分と同類だと判断し、見逃します。
結果的に、円山と、運が良かった一部の人間がブタ人間にならずに済んだというわけです。
東は犯行が発覚し、警察に捕まってしまいます。
そして、ブタ人間になった者たちは元に戻ることはできませんでした。
◆感想◆
正直なところ、どういった作品であるのかをひとくくりに説明するのは難しい作品だなぁと思いました。
広告などでよく見るシーンで作品をイメージしていましたが、ある意味、ほとんど違います。広告の内容は第1話だけであり、第2話以降は完全にブタ人間の話になってきます。
第1話・・・円山の職場での話
第2話
| ・・・ブタ人間から逃げたり、戦ったり
第9話
第10話
| ・・・事の真相
第12話
第13話・・・エピローグ
といった感じでしょうか。
大まかに言ってしまいますと
『円山は対人恐怖症タイプであり、周りの人間をあまり見ていなかった』
『皆、それほど悪い人たちではなかった』
『勝手に自分で壁を作り、周りの人たちを悪く考えすぎていた』
こういったことに気づいた円山は、これから変わっていこうと思い始めます。
趣旨的には悪くない作品内容だなと思います。
ただ・・・・・『ブタ人間』を用いることに、あまり必要性を感じません。ホラー的な要素を取り入れたかったということなのかもしれませんが、正直なところ、無い方がよかった部分だと感じました。
一番引っかかるのが『円山が好きだった中島』の存在。
最終的に『小学生の頃から、中島は円山のことが好きだった』と表現されています。
しかし、中島はブタになってしまいました。
もう人間に戻ることはありません。
もちろん、その思いを円山に伝える手段もありません。
このモヤモヤっとした終わり方が、何とも言えませんね。
そのように感じさせる作風だったということであれば成功なんだろうなと思います。