主人公が住む村
主人公『シオ(6歳)』は『アムン村』に住む少年です。ただし家が貧乏であるため『貧民街』という貧しい者たちが集まる場所に住んでいます。
シオには両親はいません。姉との2人暮らし。姉は自分が無学であるため、弟のシオにはしっかりと勉強してほしいと考え、シオを学校に行かせています。
『アムン村』は『ヒューロン族』が住む村です。住んでいる者は当然『ヒューロン族』なのですが、シオはヒューロン族と敵対関係にある種族との混血です。見た目がみんなとは異なるため、イジメられています。
シオは本が大好きであるため図書館に行きたいのですが『貧民街』の者であり『混血の耳長』であるため館長に中に入れてもらえません。しかし、館長の娘の『サキヤ』と仲が良く、時々コッソリと中に入れてもらっています。
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中央図書館の『司書(カフナ)』たちがやってきた
まず初めに『圕(としょかん)』という漢字に関してです。
◆圕(としょかん)とは
・『口』の中に『書』と書いて『圕(としょかん)』と読む。
・1925(大正14)年頃に日本で作られた「図書館」を意味する字。
(『圕』に関して)
作中では『圕(としょかん)』と『図書館』を使い分けているようですが、当ブログでは『圕』という漢字は必要だと感じられるとき以外はつかいません。というのも『漢字変換』しても出てこない漢字だからです。ややこしいので『図書館』で統一させようと思っています。
小さなアムン村に本の都『アフツァック』から4人の『司書(カフナ)』がやってきました。
◆アンズ=カヴィシマフ33歳(中央図書館渉外室)
◆ピピリ=ピルベリー22歳(修復室)
◆ナナコ=ワトル17歳(修復室)
◆セドナ=ブルゥ17歳(守護室)
それぞれがどういった役割なのか第1巻の内容で推察しますと・・・・・
『渉外室』は『書』が見つかったらそこへ行って『書』を回収してくる役割だと思います。
『修復室』は汚れたり痛んだりした本を修復する役割のようです。
『守護室』は危険な状況に陥った時の戦闘要員っぽいですね。
この作品では『魔術』として空を飛んだり、風を操り火を消したりといったシーンがあります。ファンタジーの世界です。
アムン村から『魔術書』らしきものがあるという連絡を受け、10日かけてアフツァックからやってきました。
ところが・・・・・持ち主が言うには、その魔術所は泥棒に盗まれてしまったと。おそらくそれは嘘で、他の誰かが高値で買い取ったのだろうとカフナたちは予想します。そして、こんな小さな村で本の価値がわかるのは図書館の館長だろうと。
何とか魔術書を入手したいところではありますが、本はあくまで持ち主のものです。司書と言えど奪うことはできません。お願いして入手するしか無いようです。
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図書館が火事に
山の上から街を見下ろしていたシオは、図書館が火事になっていることに気が付きます。シオは司書のセドナから借りていた本を図書館の館長に取られてしまっていたため、本が燃えてしまうと慌てて図書館にやってきました。
燃えている図書館の中に飛び込み、煙を吸って倒れている館長を救出。しかし、シオもまた煙に巻かれて倒れてしまいます。そこに現れたのがセドナをはじめとする『司書』たちでした。
火事の原因は『魔術書』の中にいた『炎の精霊』でした。守護室のセドナは『風の魔術師』であり、空気中のマナと協力し大気を操る術を使うことができます。魔術を使い炎の精霊を抑え込み、燃えている図書館の火も消してしまいました。
修復室のピピリとナナコは本の修復に取り掛かります。今回、修復室の人間を2人連れてきたのは魔術所の修復は普通の本と比べるとかなり難しいからのようです。また、ベテランのピピリが新人のナナコを指導するという名目もあったのかも。
こうして、火事騒動は一件落着。
中央図書館の決まりとして『本を貸し出す者を選んではいけない』となっています。図書館の館長はそれを破って貧民街の人たちに本を貸し与えませんでした。そのことに司書たちは激怒。こっぴどく説教され、シオは図書館を使うことができるようになりました。
そして7年後、シオは13歳になり、司書になるための試験を受けるため本の都『アフツァック』へと向かうことになります。
この世界の歴史
この世界の歴史はこのようになっているようです。
・大魔術師伝説
・『ニガヨモギの使者』という災いが大陸に訪れた
・大陸を破壊しつくし、民を恐怖に陥れた
・7人の秀でた魔術師が立ち向かった
・長きにわたる戦いの末、石棺に封印した
・厄災が残した『灰白色の死』という霧が大陸の多くの土地を奪った
・残された土地を奪い合う人間による民族同士の戦争の時代に突入
・勝者は敗者を支配するため文化と歴史と言葉を否定していった
・先人の想いを守るため魔術師は『書を守るための館』を造った
・その館を造った主は『圕(としょかん)の大魔術師』と呼ばれた
・休戦となって79年の月日が流れた
つまりこの世界には
①大陸を破壊しつくした『ニガヨモギの使者』が封印されている
②『灰白色の死』という霧が多くの土地を人間から奪っている
③民族間の戦争が行われ、民族間同士の問題も抱えている
当面の問題は『③』でしょうね。実際、主人公のシオも民族間の問題でイジメられてきましたから。そして、『②』の『灰白色の死』という霧をどうにかしたいところです。最終的には『ニガヨモギの使者』の封印が解かれて世界が大変なことになってくるという流れではないでしょうかねぇ。
次の第2巻以降はシオが司書を目指すための試験を受ける話になるようです。
感想
『図書館の大魔術師』ですからてっきり『学校の図書館を舞台にした話』だと思っていました。実際は西洋と砂漠の国を足して割ったような雰囲気のファンタジーの世界になっています。
主人公は何やら敵対同士の民族の間で生まれた子供のようですね。片方が『ヒューロン族』であることはわかっているのですが、もう片方の民族はわかっていません。民族間の戦争があったという話ですし、ヒューロン族の敵であることは間違いなさそうです。父親と母親のことも語られていません。姉ちゃんはどう見てもヒューロン族なんですよね。シオの両親の物語は何か重要な要素になってくるんでしょうね。
この作品の素晴らしさは『本』をテーマにしているだけあってとても知的ですばらしい考え方の名台詞が多いことです。司書を目指すシオがどうなっていくのかも気になりますし、楽しみな作品をみつけましたよ。
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おっコレ自分も読んでます
結構後から纏めることもあるんですね