◆前回のあらすじ◆
珠彦はユヅのため、リョウは綾太郎のため、被災地となった東京を目指します。汽車は動いていない為、2人は2日かけて徒歩で現地へと向かいます。
途中、東京から逃げてきた人たちから聞く東京の様子は、地獄絵図とのことでした。二人とも、不安を募らせます。
そしてやっと着いた東京。そこで珠彦は神戸で医者になるために勉強している妹の珠子と出会うのでした。
◆大正処女御伽話◆
1巻
2巻(・・・・15話・16話)
3巻(17話・18,19話・20話・21話・22話)
4巻(23話・24話・25話・26話・27話・28話・29話)
◆登場キャラクター◆
志磨 珠彦(しま たまひこ) お金持ちのお坊ちゃん。交通事故で母親と右腕の自由を失う。父親は息子を死んだものと扱い、千葉の田舎の別荘に追いやられてしまう。父親は珠彦の面倒を見させるため、お金で買ってきた『夕月』という少女を将来の嫁としてあてがう。 |
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夕月(ゆづき) 借金のかたとして売られた少女。珠彦の嫁として志摩家に買われる。天真爛漫な性格で、料理など家事全般をこなしつつ、手の不自由な珠彦の面倒を見る。 |
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志磨 珠子(しま たまこ) 夕月より2つ年下の珠彦の妹。頭は良いが性格がきつく、誰にでも悪態をつくとろこがある。本当は寂しがりや。神戸で医者を目指すため勉強している。 |
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綾(りょう) 村に住む珠彦と同い年の少女。家が貧しく色々と悪いことをやらされることもある。弟や妹たちにはとても優しい良いお姉ちゃん。 |
東京に珠子がいた
東京駅の前でユヅを探す珠彦でしたが、そこで出会ったのは神戸にいるはずの珠子でした。
東京が震災で被災してしまったため、全国の医療救援団が東京に来ていたのです。珠子もまた医者の叔父さんにつれられて東京にやってきていました。
珠子とリョウは相性が悪い
東京駅の近くにユヅがいるかもしれないと考えていた珠彦でしたが、ユヅはいませんでした。
リョウは顔が青くなっている珠彦を心配します。
それを横から見ていた珠子は、不快感を感じます。
『兄様、さっきからいるこのヒトはどなたですか?』
『ずいぶんなれなれしいですが?』
敵対心丸出しの二人に困惑する珠彦。
疲れがたまっていたせいか、珠彦は意識を失い、倒れてしまいました。
ユヅは必ず生きている!
珠彦は目を覚ますと、台の上に寝かされていました。千葉から2日もかけて歩いてきた疲れが一気に出てしまったようです。
神戸の医者の叔父さんは、今日はゆっくりと疲れを取り体力を回復させるように言います。
ユヅを探しに東京まで来た珠彦に、叔父さんは、『今の東京でたった一人の少女を探し出すのは難しい』と身を案じます。
どこにいるかもわからないとなると、東京中の救護所、避難所、収容所を回らなければなりません。千葉から東京までの道のりの非ではないほどに大変です。
しかし、珠彦の決心は固いものでした。
『ユヅは生きているに・・・決まってます』
珠子も珠彦に付き添ってユヅ探しに
次の日、一晩眠った珠彦とリョウは、ユヅと綾太郎を探しに向かいます。
そこへ、珠子もやってきて『私もお手伝いします』と言います。叔父さんと看護婦さんの許しを貰い、珠彦と一緒にユヅを探しに行きたいというのです。
珠彦と珠子はユヅを探しに上野方面へ、リョウは綾太郎を探すため浅草方面へと別れて探すことになりました。
ユヅを見つけるため上野の産院へ
珠彦たちが上野へやって来たのは、医者の叔父さんから『上野公園に産院が開設されている』と聞いたからです。
ユヅが妊婦の美鳥さんの元へ行ったことを考えると、ユヅと美鳥さんはそのあたりにいる可能性が高いと考えました。
上野でも多くの人が、自分の身内を探していました。
自分たちと同じように、大切な人を必死に探しているのです。
産院にたどり着いた珠彦と珠子。しかし、そこにはユヅたちは来ていませんでした。
周辺の避難所を探し回る
上野から有楽町方面へ向かい、避難所、救護所、交番と色々なところを探し回りました。しかし、ユヅは見つかりません。
弱気になり始める珠彦
探している間、珠彦たちも多くの亡くなった人たちを見かけてきました。珠彦は不安をつのらせ、弱気になってきます。
そんな珠彦に、珠子は
『あのユヅ姉様が兄様を一人残して死ぬなんて』
『ありえませんわっ!』
『いくら・・・私の大好きなユヅ姉様でもっ』
『兄様をひとりにしたら許さないっ』
そういって泣き出してしまいました。
気丈に振る舞ってくれているとはいえ、まだ13歳。そんな妹に弱音をはくなんて兄として情けないことです。
珠彦は、珠子の頭を撫でて慰めてやるのでした。
暗くなってきたことだし、今日はもうあきらめて、明日、探すことにしました。
ユヅ、見つかる
帰り際、川の橋の上でフラフラと歩く女性を見つけます。何やら川に向かって手を合わせ祈っているようにも見えます。
珠彦と珠子は『身投げ』と思い、止めに走ります。
『命を粗末にするなんてとんでもございません』
『お腹に子供もいるのにっ・・・・・』
そういう女性は手にお守りを持っていました。それは、珠彦が地元の神社で買い美鳥さんに送ったお守りです。
『美鳥さん?』
それはやはり美鳥さんでした。
美鳥さんは珠彦たちをユヅの元へ案内します。
そこには頭を怪我して、意識を失い、横になっているユヅがいました。
珠彦はユヅをかかえあげます。そして、不自由な右手でユヅを落としてしまわないように、珠子に縛ってくれとたのみます。
珠彦はそのままユヅを抱えて叔父さんのところへ向かうことにします。珠子には妊婦の美鳥さんを頼みます。
珠彦はユヅを抱えながら叔父さんのいる救護所へ走ります。
死んでしまっているかもしれないとも思ったユヅが今、腕の中にいます。温もりを、そして吐息を感じ取ることができました。
◆感想◆
2ヶ月まるまると心配だったユヅがやっと登場してくれました。とは言っても、頭を怪我しているようですし、意識もハッキリとしていないようです。果たして容態はどうなのか・・・気になるところです。
綾太郎を探しに行ったリョウの方はどうなんでしょうねぇ。リョウは綾太郎に会うことができたのか。この点も、来月明らかになってくると思われます。
今月はある意味、『珠子回』だったようにも思えます。
怒ったり、笑ったり、泣いたり、照れたりと色々な表情に溢れていましたね。初登場のころに比べるととても温かみのあるキャラになって来たと思います。ファンの方々はさぞメロメロだったことでしょう。
そういえば、ツイッターの方が開設されており、色々なイラストを紹介しているみたいですね。皆さんも定期的にチェックしてみると面白いかもしれませんよ。