◆大正処女御伽話◆
1巻
2巻(・・・・15話・16話)
3巻(17話・18,19話・20話・21話・22話)
4巻(23話・24話・25話・26話・27話・28話・29話)
◆登場キャラクター◆
志磨 珠彦(しま たまひこ) お金持ちのお坊ちゃん。交通事故で母親と右腕の自由を失う。父親は息子を死んだものと扱い、千葉の田舎の別荘に追いやられてしまう。父親は珠彦の面倒を見させるため、お金で買ってきた『夕月』という少女を将来の嫁としてあてがう。 |
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夕月(ゆづき) 借金のかたとして売られた少女。珠彦の嫁として志摩家に買われる。天真爛漫な性格で、料理など家事全般をこなしつつ、手の不自由な珠彦の面倒を見る。 |
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志磨 珠子(しま たまこ) 夕月より2つ年下の珠彦の妹。頭は良いが性格がきつく、誰にでも悪態をつくとろこがある。本当は寂しがりや。神戸で医者を目指すため勉強している。 |
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綾(りょう) 村に住む珠彦と同い年の少女。家が貧しく色々と悪いことをやらされることもある。弟や妹たちにはとても優しい良いお姉ちゃん。 |
ことりちゃんに夢中のユヅと珠子
レコードを鳴らしながら髪形を変える楽しむ珠子とユヅ。
2人は、今話題の『ことりちゃん』に夢中になっていました。
賑やかな声に誘われて珠彦も2人の元へやってきます。
珠彦はレコードで流れている歌が何なのか2人に聞きます。どうやら、珠彦はことりちゃんのことはあまり知らないようでした。そこで、珠子は雑誌を珠彦に見せます。
記事の内容を見て、珠彦も新聞や雑誌でよく見る娘だなと気が付きます。
ことりちゃんが千葉駅に来る!
今日の新聞にもことりちゃんが載っていたことを思い出し、珠彦は2人に新聞を見せてあげます。
そこには、本日の午後3時にことりちゃんが千葉駅に来るということが書かれてありました。
ユズと珠子は驚きます。そして、珠彦を含めて3人で千葉駅へことりちゃんに会いに行こうと誘うのですが、珠彦は来月の受験のために勉強したいから・・・・・と断るのでした。
二週間後に高校の入学試験
2日前、父親の側近がやってきました。そして、珠彦が父親にお願いしていた高校入学に関しての条件を説明します。
試験内容は3つ。
・入学試験
・一年で受ける試験全て
・二年で受ける試験全て
これらの試験を全て受けて、優秀な成績をおさめ、飛び級で二年生から入学するようにとのことでした。
これらの試験が2週間後にあります。
珠彦は不安でいっぱいでした。
ことりちゃんを3人で見に行く
最初はコンサートを断った珠彦でしたが、息抜きになるからと誘われ、結局ついていくことにしました。
午後3時の駅前。
多くの人が、ことりちゃんを見たさに集まっていました。
白鳥ことりです。
本日はこない沢山集まってくれはっておおきに!
精一杯歌いますよって
皆さんどうぞ楽しんでっておくれやす。ほな始めは機能発売のレコードの曲から
『月夜ノコトリ』
♪ 空を飛べずに鳴く鳴く小鳥
♪ 何時も独りで鳴いているよ♪ 夕月見下ろす木の陰で
♪ 一人寂しや涙こぼせば
♪ ひとりじゃないよと春風が♪ ドレミファそうっと優しく吹いて
♪ ソラシド空へ羽ばたく小鳥
それは素人の珠彦でもわかる上手な歌声で、珠彦は強く心を打つのでした。
ことりちゃんの歌を聞くことができて、珠彦はユヅに『来てよかったよ』と告げます。
それを聞いてユヅは、嬉しそうに珠彦に寄り添うのでした。
深夜の休憩
夜遅くまで受験勉強を続ける珠彦。もう深夜の2時です。
一息つこうと部屋から出ると、明かりのともっている部屋がありました。覗いてみると、リョウが何やら手紙のようなものを読んでいます。
珠彦のためにお茶をいれてくれるリョウ。
リョウもことりちゃんの歌を口ずさみます。どうやら日本中が夢中になっている流行りの歌のようでした。
お茶を飲んで部屋に戻ろうとする珠彦。
リョウは頑張っている珠彦に
『あんまり根詰めるなよ』
『アタシでできることがあったら』
『してやるから言ってよね』
そういって応援してあげるのでした。
受験前日の夜
それから日は流れ、いよいよ受験前日。
珠彦は焦っていました。いくら勉強しても足りない気がするからです。
父親はもう二度とチャンスを与えてはくれないでしょう。試験に失敗すれば、今までのように死人扱いとなってしまいます。
そうなれば、ユヅを自分の力で幸せにしてあげるということもできなくなってしまいます。
珠彦は徹夜で試験に挑む覚悟です。
ユヅの応援
そこへユズがやってきます。
よく眠れるようにと、牛乳を温めて持ってきたのです。
珠彦は、ユヅが持ってきた温かい牛乳を飲みながら、以前、同じことがあったことを思い出します。
その時も、珠彦は眠れなくて、ユヅが温かい牛乳を用意し、そして自分が子供の頃に母親が子守歌として歌っていた『星の界(ほしのよ)』を歌って聞かせてくれました。
『歌いますか?』
そういうユヅに、珠彦はことりちゃんが歌っていた『月夜のコトリ』を歌ってほしいと頼むのでした。
ユヅの歌を聞きながら、珠彦は眠りにつきます。
ユヅは珠彦の寝顔を見ながら、
『珠彦様が全力を出せますように』
『珠彦様の今までの頑張りが報われますように』
『珠彦様の夢が叶いますように』
そう願うのでした。
受験当日
いよいよ、受験の日がやってきました。
珠子が用意してくれたお守りを受け取り、珠彦は受験場所へ向かいます。
家を出た珠彦を、ユヅが走って追いかけてきます。忘れ物だと。
一体何を忘れてしまったんだろうと考える珠彦をユヅはかがませ・・・・・
顔を赤らめ、珠彦は『絶対合格してやる』そう決意し、受験場所へ向かうのでした。
◆感想◆
ということで、いきなり珠彦の受験が始まりました。
来年の4月からの入学を予想していましたが、まさか2年の途中から入学するとは予想できませんでした。これで珠彦の学校生活は大正12年10月頃~大正14年3月に卒業という流れで行きそうです。
作品名が『大正処女御伽話』なわけですから、やはりストーリーは大正内に収めるものと思われます。
となると、珠彦が卒業して以降の大正14年4月から、大正が終わる大正15年12月25日までの約2年間が、ストーリー上のクライマックスになるってことなのかもしれませんね。
それにしても、いきなり新キャラが登場しましたね。今後、何らかの重要な役どころがあるのでしょうかねぇ。
よくあるパターンとしては、珠彦の学校のクラスメート? それとも、父親の仕事関係で絡んでくるのか。そもそも、何となく登場させただけで意味がないのか。今の段階ではハッキリとしたことはわかりません。
リョウの方も何か手紙のようなものを読んでましたね。
無難に考えれば綾太郎からの手紙なのですが、隠したところを見ると、別の悪い可能性も考えられます。
例えば・・・・・結婚相手が見つかったという親からの知らせとか。当時は結婚相手を親同士が勝手に決めるということもあったようですし、何より、関東大震災で家が大変なことになってますからね。親としては、子供をそれなりの所に嫁がせて、援助してもらいたいという話になったとしても不思議ではありません。
リョウは珠彦に気があるようですし、近いうちに一波乱あるのかもしれませんね。