◆大正処女御伽話◆
1巻
2巻(・・・・15話・16話)
3巻(17話・18,19話・20話・21話・22話)
4巻(23話・24話・25話・26話・27話・28話・29話)
◆登場キャラクター◆
志磨 珠彦(しま たまひこ) お金持ちのお坊ちゃん。交通事故で母親と右腕の自由を失う。父親は息子を死んだものと扱い、千葉の田舎の別荘に追いやられてしまう。父親は珠彦の面倒を見させるため、お金で買ってきた『夕月』という少女を将来の嫁としてあてがう。 |
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夕月(ゆづき) 借金のかたとして売られた少女。珠彦の嫁として志摩家に買われる。天真爛漫な性格で、料理など家事全般をこなしつつ、手の不自由な珠彦の面倒を見る。 |
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志磨 珠子(しま たまこ) 夕月より2つ年下の珠彦の妹。頭は良いが性格がきつく、誰にでも悪態をつくとろこがある。本当は寂しがりや。神戸で医者を目指すため勉強している。 |
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綾(りょう) 村に住む珠彦と同い年の少女。家が貧しく色々と悪いことをやらされることもある。弟や妹たちにはとても優しい良いお姉ちゃん。 |
寝起きの珠彦
朝、目を覚ました珠彦は、外に出て歯を磨きます。
右手が不自由ということもあり、歯ブラシに歯磨き粉を塗るのはユヅの役目。
歯を磨いた後は、片手で顔を洗います。
ユヅは照れる珠彦の顔をタオルで拭いてあげて、寝ぐせもなおしてあげるのでした。
父からの手紙
郵便屋さんから速達の手紙が届きます。
父親からの手紙でした。
先日、学校に行くつもりは無いと手紙を書いたため、そのことに関しての返事であろうと、珠彦は手紙を読み始めます。
珠彦へ
お前が学校に行く気が無ひのはわかった
これについて父は何も云わぬ
むしろ今となってはその方が良い珠樹と珠代に縁談が持ち上がっており
当方に学校にも行かず篭居しているような愚弟ありなどと
志磨家の恥ぢるところ破談になりかねん父として志磨の当主として
この良縁をまとめる為に
それがお前に出来る唯一の
家族孝行であらうと父は思ふ
落ち込む珠彦
このことで珠彦は落ち込んでしまい、昼間から布団にもぐりこんでしまいました。
心配して部屋にやってくるユヅ。
珠彦は部屋から出るようにと言いますが、ユヅは聞き入れません。
仕方なく、珠彦はユヅに手紙を渡し、事情を説明します。
元気づけるユヅ
珠彦は自暴自棄になってしまいます。
自分が死ねば家族も喜ぶ、ユヅもお役御免となる、皆が幸せになる。
そう言って、どうやって死んでやろうかと笑い出すのでした。
そんな珠彦を見て、ユヅは怒ります。
人に酷いことを言われて傷ついているのに、自分で傷を増やすことを言ってはいけないというのです。
そんなユヅは、珠彦に膝枕をしてあげます。
女学校時代、友達を慰めるときに使っていた手法です。
ユヅは、両親と別れて珠彦の元へやってきた時のことを珠彦に話します。
ユヅは両親に『私は死んだと思ってください』と言い残してここに来ました。とはいっても、本当に死ぬわけではありません。
ユヅの前向きな言葉を聞いて、珠彦は少しだけ元気を取り戻すのでした。