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雪の中、少年は目に涙をためながら森の中を歩いていきます。

そこへ何かが話しかけます。

『・・・哀れな子がおるなぁ』

と。

◆前回のあらすじ◆

チセは、アリスからアリスの師匠であるレンフレッドとの出会い、思い出話を聞きます。その後、チセとアリスは自分の師匠のためのクリスマスプレゼントを買いわかれます。

チセは一日早いものの、クリスマスプレゼントをエリアスに渡し、本日のクリスマスを迎えます。

◆魔法使いの嫁◆

第6巻は9月10日発売予定

6巻相当(26話27話28話29話・30話)




魔力の結晶の花

クリスマスの日の朝、チセはベットで目を覚まします。頭に何か当たっている。ルツではない。顔を上げてみると、そこには昨日エリアスからもらったテディベア・・・・・の頭から花が咲いている?

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エリアスに聞いてみると

『あ、上手くいったみたいだね。』
『体内で作られた余計な魔力を眠っている間に吸い上げて』
『テディベアの中に入れてある医師や種が育つ』
『朝になったら結晶の花が咲いている仕掛け』
『気に入った?』

チセは結晶の花を見て『すごくきれいです』と喜びます。

心の中では『見た目すごいけど・・・』とツッコみます(笑)。

チセの使い魔であるルツには、チセの魔力でできているため、それがとても美味しそうに見えます。

皆からもらったクリスマスプレゼント

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皆からもらったクリスマスプレゼントを開けてみました。

リンデルからは竜の抜け殻。色々なモノづくりに使えます。

セルキーからは魚、サイモンからは腕時計。チセは腕時計を持っていなかったようです。

アンジェリカからは、エリアスが頼んでいたものだったようです。

エリアスはチセから、以前アンジェリカからもらった『まじない紐』を受け取ります。まじない紐は本来魔法使いや魔術師に罰としてつけられるもので魔力を作ること、吸収することができなくなりますが、働きづくめのチセの体には丁度いいということで、まじない紐とプレゼントを組み合わせたものをチセの左上に取り付けました。

チセはもらったプレゼントのお礼の手紙を書こうと思いますが、魔法を使えません。

魔法を使えないと、ほとんど何もできないことに気づくチセ。沢山もらっているのに、何も帰せていません。

しかし、手紙ならヘーゼルに頼めばいいし、薬も特別なものでなければ作ることができます。庭や畑の手入れもできる。

チセは魔法ができない代わりに、体を動かすことなら何でもやろうと決意します。

一人での外出はダメ

チセはサイモンさんにプレゼントのお礼を言いに行くとエリアスに伝えたところ『じゃあボクも行くよ』と言います。

また勝手にロンドンに行かれたら困ると考えているようです。

『もう行かないですよ・・・、だまっては。』

と言いますが、エリアスは『どうかなあ』と信用していません。

弟を探す少女

積もった雪の中、サイモンさんの家へ向かうチセ。チセの影の中に隠れているエリアス。

そこへ、一人の少女が走ってきて、チセに飛びついてきました。

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少女は必死な顔で『男の子を見なかった?』とチセに聞いてきます。

見なかったと答えると、少女はうつむいて、走り去っていきます。

その後ろを、その子の父親と母親が追いかけていきます。

『どうしたんだあの子はいきなり・・・』
『わからないわ弟がいなくなったって急に・・・』
『弟? うちにはあの子しかいないじゃないか』

とても奇妙な会話内容でした。

チセはエリアスの同意を受けた後、少女を追いかけて、話を聞いてみることにしました。

自分以外が弟を忘れてしまった

少女の名前は『ステラ・バークレム』。クリスマス休暇でこの村に住んでいるおばあちゃんの家に家族みんなで来ていました。

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ステラの弟の名前は『イーサン』。

雪を見るのが初めてのようでとても喜んでいました。

しかし、イーサンは体が弱い子です。ステラが心配して家に入るように言いますがいうことを聞きません。次第にけんかになってしまいました。

イーサンを置いて家に入ったステラでしたが、なかなかイーサンが帰ってきません。

それで外へ見に言ったら・・・。ステラはそこまで説明すると少し黙り込みます。

ステラはイーサンがいなくなってしまったことを父、母、おばあちゃんに言いますが、

『あなたは一人っ子でしょ?』

という返事が。自分以外、弟のことを覚えていいなかったんです。

確かに奇妙な状況です。

エリアスが少女(ステラ)と取引

エリアスはチセの体を借りてステラと交渉をします。

『・・・・・君は、何を支払ってくれる?』

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『僕らは人を助けるとき、見合った対価をもらう。』
『そうしないと対等にならないからだ。』
『君は、僕たちに何をくれる?』

ステラは悩みます。そして・・・

『お菓子!』

ステラはお金もないし、何も持っていないから、お菓子を沢山作ってもってくると約束します。

チセの姿を借りているエリアスは、シルキーに別の味も覚えてほしいということで、それで契約します。

そして、ステラの前に姿を現しました。

さすがにエリアスの姿は怖いようでチセの後ろに隠れるステラ。しかし、怖いといっても弟を探す方が大事です。

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ステラは、お礼を言って、魔法使いのエリアスとチセと一緒に弟を探し始めました。




人を探すまじないが使えない?

まず、弟がいなくなった場所から探すことにしました。

チセは、『雪を見るにはずいぶん家から遠いような?』と少し疑問に感じます。

探し回る前に、チセはステラに『魔力の結晶の花』をあげました。はぐれても見つけることができるように、という理由です。

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エリアスによる弟のイーサン探しが始まります。

・・・・・ところが、まじない道具が急に燃えだしてしまいました。誰かが探すことを妨害する何かをしているようです。

隣人たちの協力で探す

これでは何をしても手の打ちようがないと判断したエリアスは、隣人たちに訪ねて探す方がはやいと判断します。

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そこへ、隣人が現れます。

チセは隣人に『魔力の結晶の花』をわたし、ステラの弟探しの協力をお願いしました。

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チセは行く先々で隣人たちに『魔力の結晶の花』を渡します。さすがにもう花がつきてしまいました。

そこへ、弟のことを知っているという隣人が現れます。対価としてチセの血をほしいと言います。

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チセは『ティーカップ半分まで』という条件で、血を与えることにしました。

弟をさらったのは『灰ノ目』?

隣人の手助けのおかげで、チセたちは弟のいる場所にたどり着きました。弟のそばにいたのは、『灰ノ目』です。

灰ノ目は

『雪の中に幼子が”捨てられて”おったから不憫でなぁ』
『世を儚んで共にぼうっとしておったのだ、フフ』

そういって笑います。

『弟を返して!』

そういうステラに、灰ノ目は言います。

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『これを捨てたのは』
『お前だろう?』

と。

あとがき

テディベアの頭に花が咲くってのは面白いですね。『魔力の結晶の花』は使い道もあるようですし、チセにとっては必須アイテムの一つになってきそうです。

今回、クリスマスということでノンビリとした一日が始まるのかとも思いましたが、事件が発生してしまいましたか。ステラの弟の行方不明事件です。

弟を探すステラですが、読んでいて幾つか引っかかる表現がありました。

チセに弟がいなくなった経緯を話す時ですが

『しばらくたっても家の中に入ってこないから見に行ったら・・・』
『・・・・・・・・・・・・・』

そう言って、何故か黙り込みます。そして、見に行った時の状況を説明せずに、いきなり話が飛んで両親に弟が消えたことを伝えたが弟を覚えていなかったという話にうつります。

なぜステラはチセに弟の様子を見に行った時の具体的な話をしなかったのでしょうか? まず、ここに疑問を感じます。

2つ目として、弟がいなくなった場所に来た時にチセが感じた感想です。

『・・・雪を見るにはずいぶん家から遠いような・・・?』

どうやら、家からかなり離れた位置で遊んでいたようです。これも疑問ですね。

ステラの話では弟は『体が弱い』そうです。体が弱いなら家の近くで雪遊びを楽しむものではないでしょうか? にもかかわらず、遠く離れている場所で遊んでいたということになります。なんだかつじつまがあいません。

そして、最後に灰ノ目が言い放ちます。

『これを捨てたのはお前だろう?』

と。

この3つを考慮した上で、弟が雪の中を歩いている姿を再度確認してみましょうか。

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普通に考えれば、ステラと弟がけんかしてしまって、弟が一人どこかへ行ってしまってるようにも感じますが・・・・・、喧嘩してしまったこと以外にも、ステラがチセ達に話せずにいる『何か』があるように思えてなりませんねぇ。