◆たくあんとバツの日常閻魔帳◆
1巻相当(1話・2話・3話・4話・5話・6話・7話・8話)
2巻相当(9話・10話・11話・12話)
◆登場キャラクター◆
バツ 閻魔大王の一人娘。閻魔大王が殺害されてしまい、鬼ノ怪が現世に溢れてしまいました。それをどうにかするため、バツは地上に行きます。秩序、均等に関して強いこだわりを持っています。 |
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九十九多九郎(つくもたくろう) 日常の中にある幸せを追い求める少年。あだ名は『たくあん』。唯一の家族で会った母親を殺され、犯人に強い悪意を持っている。そのため、鬼にとり憑かれてしまった。 |
閻魔大王の娘バツ登場
地獄の閻魔大王裁きの間に一人の少女がいます。彼女の名前は『バツ』。閻魔大王の一人娘です。
閻魔大王は『生前罪を犯した人間』を裁いてきました。地獄の王、秩序の王として。
しかし、わけあって今はいません。娘のバツは乱れた秩序をただすために、地上に向かいます。
たくあんの幸福日常論
いつもの日常こそが大切だと考える九十九多九郎。彼の日常がまた一つ失われてしまいました。彼を知っている皆が彼を『たくあん』と呼ぶのです。
『たくあん言うなぁぁ!』
こうなったいきさつは今朝の全校集会。
校長先生が話をしている時に多九郎の友人が話しかけてきます。『カエル男』に関してです。なんでも二足歩行のカエルの化け物がいるとうい噂です。友人は面白がって捜しに行こうと誘ってきます。
しかし、多九郎ばかばかしいと興味を示しません。多九郎の持論は『幸せってものはいつもの日常に溢れている』です。平穏な生活が一番大事だと考えているんですね。
そんな多九郎に友人は『日常は退屈』であり『たまの刺激が必要』だと説きます。
女子からの評価の低さが答えたのか、多九郎は思わず大声で反論してしまいます。
『食卓を幸せにしてるのはなぁ、たまのステーキじゃない! いつもの”たくあん”なんだよ!!』
これで全校生徒の注目を浴びてしまいました。以降、彼は皆から『たくあん』と呼ばれるようになりました。
『たくあん』は『多九郎』だった日常に涙を流して別れを告げます(笑)
たくあんとバツの出会い
放課後、たくあんはスーパーへ走ります。タイムセールが目的です。
普段だったら余裕で間に合っているのですが、朝の全校集会で大声を出してしまったために校長先生から罰を与えられて遅くなってしまいました。
たくあんはことの発端で会った『カエル男』に関して愚痴ります。
『ったく、カエル男のせいで僕の日常はムチャクチャだよ。』
この言葉に対し、『その話、詳しく聞かせて頂けないですか?』とどこからともなく声が聞こえてきます。周りに人がいないため、たくあんは『気のせいかな?』と思い通り過ぎようとしますが・・・・・・
どこかの空間から現れた少女に『肩車』で捕まってしまいます。
現れた少女は『肩車』状態でいきなり自己紹介を始めます。どうやら『秩序』に強いこだわりがあるようで、話を進める前に自己紹介をしなければ気が済まなかったようです。
少女は自分のことを『閻魔大王の一人娘バツ』であると名乗ります。
そして、たくあんが口にしていた『カエル男』というのは地獄の鬼ノ怪がからんでおり自分が裁きに・・・・・と長々と説明。肩車の状態で(笑)。
閻魔との約束
いきなりの出来事に、たくあんは戸惑い、バランスをうまく取れません。バツはふらついて前方に回転! たくかんの股間に頭突きを直撃させてしまいました。
『す、すみません・・・まず降りるべきでした。』と謝るバツ。『そ・・・そうだろ。』と股間を抑えて悶絶するたくあん。
悶絶するたくあんにバツは言います。
『ずっ・・・頭突いて下さい。』
バツの理屈は『股間に頭突きをしてしまったのだから、自分にもそうしてもらわないと均等ではない』とのことです。
『恥をかかせて下さい! 恥を均等にしないと閻魔の血がイライラして爆発します!!』
と股間への頭突きを要求。
たくあんは『ごっこ遊び』をしているのだと勘違いします。『閻魔大王の娘』というバツの発言を信用していません。
『私が本当に閻魔大王の娘だったらどうしますか?』との質問に『頭突きどころかなんでも言うことを聞いてやるよ』と返答。
バツはニヤリと笑います。
『閻魔との約束、破ったら許しませんよ。』
カエル男、現る
『キャアアアアアアアア!!』
突如、女性の悲鳴声が聞こえてきます。
その場に走るたくあん。そこには体系は人間ですが顔はカエルの化け物が居ました。そして、女性を襲っていたのです。
たくあんは女性を助けるべく突進していきますが、カエル男は舌で攻撃! 間一髪でたくあんをバツが助けます。
意外と無謀なことをやるものだとバツは呆れ気味。
バツは指の肉を切り血をたらします。
『閻魔の血を持って地獄より裁きの槌を召喚します!』
地面から湧き出てきた閻魔の槌を使ってカエル男を攻撃!
カエル男は閻魔の槌による攻撃をかわします。しかし、閻魔の槌には続きがありました。
『全ての罪に血判による裁きを!』
『判決、針地獄!』
地面から無数の針が出没し、カエル男を攻撃・・・もジャンプしてかわされてしまいます。
カエル男はおなかの中から液体を出すとバツに浴びせます。そして、女性を担いだまま逃げてしまいました。
バツは逃げるカエル男を追うようにと、お供の『八咫烏(やたがらす):類(るい)』に帰る男を追わせます。
人間に戻って人ごみに紛れてしまっては見つけるのは困難になります。バツはしくじってしまったようです。
バツが地上に来た理由
困惑するたくあんに、バツは『カエル男は人間』だということを伝えます。見た目は化け物であるにもかかわらず『人間』とのことで、たくあんは驚きます。
『私の父、閻魔大王が少し前に殺害されました。』
『それにより地獄の秩序が崩壊したのです。』
閻魔大王が死んでしまったことで『鬼の怪(もののけ)』が現世に侵入してしまい、人にとりつき、化け物に変身する犯罪者になってしまうとのこと。それがさっきのカエル男だったんです。
『人の悪意に鬼の怪が取りつく』
この言葉にたくあんは強く反応します。
一時的にバツの獄卒(はいか)になるたくあん
地面に警察手帳がおちていることに気づきます。そこには先ほど連れ去られてしまった女性の顔写真と名前が書かれてあります。
これからどうするべきかと悩むバツに対して、たくあんは『まずは警察に聞き込み』。
たくあん曰く
『操作の基本はまず被害者の身辺調査だ。』
『襲われた女性の国枝さんに悪意を向ける人物が周りにいる。その人物が犯人だろ。』
と。
カエル男探しの捜査にもやる気があるようですし、『バツはカエル男事件の解決まで私の獄卒(はいか)になりなさい』と告げます。
たくあんは嫌がりますが、閻魔の娘が本当ならなんでも言うことを聞くと約束してしまいました。
たくあんはバツの獄卒(はいか)になることを承諾するしかありませんでした。
バツの最初の命令
『頭突きなさい』
先ほど、股間に頭突きしてしまったことをまだ気にしているようです。
閻魔大王の娘ということで、あくまで『均等』にこだわるようです。どうやら他人にも自分にも厳しい判断をする考え方のようですね。
仕方なく、たくあんはバツに『頭突き』をします。
そして、自分の平穏なる日常を取り戻すためにカエル男を捕まえることを協力します。
知り合いの警察に捜査協力
たくあんのお母さんは元警察官であったということもあり、警察に知り合いがいます。名前は笹嶋さん。二人は笹嶋さんに相談することにしました。
警察の国枝さんがさらわれてしまったということで笹嶋さんも二人に事情を聴きます。『カエルの化け物がさらって行きました。』と。笹嶋さんはゲームのやりすぎか?冗談っぽく返します。
バツは笹嶋さんに『最近、国枝さんに何かなかったですか? 人に恨まれるようなこととか?』と聞きます。
笹嶋さんは国枝さんが最近ドロドロ死体の事件を調査していると伝えます。ドロドロになって死んでしまっているため、身元も特定できない難事件です。
国枝さんはその事件で同僚の刑事を犯人ではないかと操作していました。鬼頭さんという顔の怖い刑事です。
『その人、今どこに?』と聞くたくあんに対し、笹嶋さんは『おいおい、鬼頭さんが犯人で・・・そのカエルの化け物だって言うのかい?』と笑います。
たくあんとバツで鬼頭のアパートを捜査
現在のたくあんとバツの考え。
・国枝さんはドロドロ事件の捜査
・国枝さんは国頭さんが犯人だと疑っていた
・(推測)鬼頭さんが犯人である証拠を見てしまったため、口封じに襲われた
たくあんとバツは鬼頭刑事のアパートを突き止めます。たくあんの母親が元警察であり、同僚であったために住所がわかったようです。
鬼頭刑事は留守です。なかを調査するため、バツは閻魔槌を使ってたくあんを小さくしてしまいました。ドアポストから中に入り、中からカギを開ける作戦です。閻魔槌、とても便利ですね。
部屋の中を調べていると、ベランダからネバネバ状の液体が風呂場につづいていることに気づきます。風呂場を調べてみると・・・・・そこにドロドロに溶けた人間の死体がありました。
鬼頭さんが犯人で確定です。
あまりにも酷い状況にたくあんは『こんなこと人のやることじゃない。本物の・・・化け物だ。』とショックを受けます。
それに対しバツは『化け物ではありません。これが人の悪意です。鬼ノ怪は人の悪意を喰い能力を使わせているにすぎません。』そう説明します。
カエル男捜査の任務終了
カエル男が誰であるか特定することができ、バツは任務終了を宣言します。後は自分と類(お供の八咫烏)で対応すると。
カエル男を特定できたのはたくあんの協力が大きいものでした。そのため、バツは『何か褒美を上げないと均等になりません!』と。『罪には罰! 功には褒美!』と。
結局、たくあんは褒美として大量の缶のお茶をもらいました。さすがに多すぎで、たくあんも頭を抱えています。
真犯人は笹嶋さんだった!
カエル男事件のことを考えていると何かが自分の体に宿ったかのような状況になってしまった、たくあん。そして、犯人が誰であるか気づきます。
廃墟となったビル。その中へ一人の男が入っていきます。中には女性が倒れていました。女性警察官の国枝さんです。
後ろからついてきていたたくあんは『見つけたぞカエル男』と。
その男は『何故自分だとわかった?』とたくあんに聞きます。
たくあんが真犯人に行きついた理由はこうです。
『ドロドロ死体は身元を確認できないため隠す必要がない』
『にもかかわらず、鬼頭さんのアパートに死体があった』
『ドロドロ死体は外から持ち運んだ形跡があった』
『外で殺した死体を自宅に持ち帰るのはおかしい』
『誰かが鬼頭さんが犯人だと思わせるために仕組んだとしか考えられない』
また、笹嶋さんが口走ってしまった妙な台詞。
『おいおい、鬼頭さんが犯人で・・・そのカエルの化け物だっていうのかい?』
『笹嶋さんは鬼ノ怪の事情を知らないはず』
『にもかかわらず人間=鬼ノ化と判断していることに違和感』
こういった理由から、たくあんんは笹嶋さんをつけていて、どうやらビンゴだったようです。
笹嶋さんは警察をやっているうちに、自分でも殺人をやってみたいという『悪意』にとりつかれてしまったようです。その時に出会ったのがカエルの鬼ノ怪。その力を使って、何人も殺してきました。
『君はもうお母さんのような刑事にはなれない。ここで死ぬから。』
そう言って、カエルの舌でたくかんの心臓を貫きます! しかし、たくあんは死んでしまうことなく、カエル男に話をします。
『ははっ・・・母さんみたいになれないって?』
『そんなのわかってる。』
『だって僕は、母さんと違って正義感何て持ってない』
『持ってるのはオマエと同じ・・・・・』
『こんな醜い、悪意だよ』
たくあんは強烈な一撃でカエル男を倒してしまいます。
『僕はね笹嶋さん』
『いつもの何気ない日常が大好きなんだよ』
『学校に行って』
『友達とバカ話して』
『委員の仕事して』
『また・・・たくあんもつけて』
『そんな毎日がかけがえないと思うんだ』
そう考えているたくあんだからこそ、人の日常を壊す笹嶋さん(カエル男)のような存在を許すことはできませんでした。
たくあんんが鬼にとりつかれた経緯
たくあんが暴走してしまいそうなところでバツが現れます。
『極寒地獄!』
閻魔槌の能力で凍らせてしまい、戦いを止めました。
『まさかあなたもとり憑かれているとは』
『いつから、何があったのですか?』
バツの問いにたくあんは答えます。
2年前にたった一人の家族であった母親を殺されてしまいます。
日常を壊した犯人への復讐を望んだ時に、たくあんは鬼にとりつかれてしまったのです。
『人の日常を壊す『人の悪意』も『鬼ノ怪』も許すことはできない!』
そういうたくあんに、バツは言います。
『私の下で悪意を憎むその心を活かし、誰かの日常を守るのです。』
と。
すぐそばには女性警察官の国枝さんが倒れています。そして、生きてます。たくあんが守った日常です。
たくあんはバツの獄卒(はいか)になることにします。
『よろしく頼む、バツ。』
『シシシシシ、よろしくお願いします、九十九さん』
カエル男の罰
バツによるカエル男への裁きが始まります。
バツはカエル男の罪状を読み上げます。すると、カエル男の力がどんどん抜けていきます。バツは悪意を暴くことによって、その悪意が閻魔の血に力を与えるのです。
バツは自分の血の力を使って、カエル男を地獄に送ります。
地獄でさんざん苦しめられて、罪を反省させたら現世に戻り、そしてまた現世の秩序で裁かれることになる地獄めぐりです。
『判血!』
『死に返り、その魂を清めよ!』
『死返し!』
カエル男は舌を抜かれてしまい、地獄に引きずられていきます。
『お前は被害者と同じ痛みを知りながら地獄へ行くといい』
カエル男の体はドロドロに溶けだし、苦しみながら地獄へ落ちていきました。
日常に戻るたくあん
あらから少したった日の朝、学校で花壇に水をやり、動物にエサをやるたくあん。あまりにも非日常な出来事であったため、少し放心状態気味です。
そこへバツが現れます。
バツはたくあんに『悪意、復讐心、罪状、鬼ノ怪憑依』ということで『保護観察処分、獄卒の首輪』を取り付けます。鬼ノ怪にとりつかれているため無罪放免とはいかないようです。
たくあんが悪意と向き合い成長すれば鬼も体から出ていくようです。
その日まで、バツの獄卒としての生活が続くのでした。
あとがき
週刊少年ジャンプで新連載の作品です。少年漫画風の展開であり、個人的には結構好きです。
ヒロインのバツちゃんはなかなか可愛らしいですね。均等、秩序に強いこだわりを持ち暴走気味になったりもします。
ヒロインがこういったテンションだから、たくあんの方は大人しいキャラ設定にしたのかな?しかし、平穏な日常を暴走気味に主張していますし、ある意味、似た者同士なのかもしれませんね(笑)。
今回は読んでいて少し気になったことを書いてみます。
肩車で前に倒れこむかな?
バツがたくあんに肩車状態に乗っかっている状況から、バランスを崩し前方に倒れ、反動でたくあんの股間に直撃している図です。
実際、これにはかなり違和感を覚えます。肩車では後ろに倒れてしまうことはあっても、前方向に、このように倒れてしまうってのは無いように思えるからです。普通は頭がつっかえになって前方向には落ちませんからね。
『肩車状態から前方向に倒れる図』というのは僕の知る限り史上初です(何の”史”なのかは不明)。なかなかレアなものを見てしまいました。
身内行方不明に警察は他人事?
女性警察官の国枝さんがカエル男にさらわれてしまいました。普通であれば、警察は大騒ぎで探し回らないといけない案件です。
にもかかわらず、話を聞きに来たのは笹嶋さん一人。あまり真剣に聞いている雰囲気もありません。ここも結構違和感を覚えます。
もちろん
『たくあんが笹崎さんに直接連絡を入れたから』
『笹崎さんが犯人だったからもみ消した』
とも考えられます。
しかし『警察手帳』まで拾っているような大変な事案です。たくあん本人も違和感を感じないとおかしいような気もするんですよねぇ。
たくあんに憑いている鬼は、良い鬼?
どろどろ事件の犯人は鬼頭だと判断していたたくあんとバツでしたが、たくあんは鬼の能力が目覚めてしまったかのような状況となり、犯人が笹嶋さんであるということに行きつきます。まるで鬼が気づかせてくれたかのような状況だと感じました。
また、たくあんの『悪意』は人間に向かっていません。これはたくあん自身の悪意がおそうだからなのかもしれませんが、今のところ、鬼自体は悪さをする気配はありません。
鬼ノ怪はいつから現世にいるのか?
バツは『少し前に閻魔大王が殺害されてしまい、地獄の秩序が崩壊してしまった』と説明します。その結果、鬼ノ化が現世に侵入してしまったと。
それに対し、たくあんにとり憑いている鬼は2年前のもののようです。つまり、閻魔大王が殺される前から現世にいた鬼ノ化である可能性があります。何か特別な意味を持つ鬼なのかもしれませんね。