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◆大正処女御伽話◆

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【最新】大正処女御伽話

お医者様になる

3人で朝食を食べている際、珠子は珠彦とユヅに思いがけない話をし始めます。

珠子
『急な話ですが』
『私、明日帰らせていただきます』

いきなりの話で、驚く珠彦とユヅ。

珠彦
『医者になるって何で急に・・・』
『どうやって・・・』

珠子
『神戸の叔父様にお電話したところ』
『叔父様はいつでも来なさいと・・・』

神戸には医者をやっている叔父さん(父親の弟)がいるのです。

言う事だけ言うと、あまりとやかく言われたくないようで、自分の部屋にこもってしまいました。

放っておくしかないかという珠彦を、ユヅは心配そうな顔で見つめます。

一番大事なのはお前だよ

夜、暗くなって縁側で外を眺める珠子。

そこへ珠彦がやって来て、珠子と話をします。

珠彦
『なぜ急に医者を志そうとおもったんだ?』

珠子はあまり話をしたくはないようです。そこで、珠彦は別の話題をふります。

珠彦
『じゃあ、どうして僕の所へ来たんだ?』
『珠代姉さんのとこ、叔父さんのとこ』
『行くとこは他にもあったはずだろう?』

珠子
『それは・・・・・』

いいよどむ珠子。

珠彦
『僕がお前と本当に血のつながった兄妹だから』
『ここに来たんだろ』

珠子
『なんなのですか、もうっいいかげんに・・・』

なんだか恥ずかしくなって、顔御赤らめて怒り出す珠子。

珠彦
『そういえば、お前が生まれた時はうれしかったなぁ』
『今はこんなに怖い妹だけど』

珠子
『一言余計ですっ!』

そんなたわいもない会話をするのでした。

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医者になろうと思った理由

その後、珠子は珠彦とユヅに、医者になろうと思った理由を話してくれました。

珠子
『他人なんてどうでもいい』
『他人のためになにかするなんてバカらしい』
『そんな考えで十二年生きてきたというのに』
『私は気づかされてしまったのです』

ー回想ー
ユヅ
『珠子さん、手厚い看病のほど、ありがとう存じます』

珠子
『あれくらいなんてこともありませんわ』
『苦しんでいるユヅ姉様をみていたら』
『助けたい一心でこの体が動いてしまったのですわ』

自分で言って、どこかで聞いたことがある言葉だなと思う珠子。それは、以前、ユヅが自分に言った言葉そのものだったのです。

ー回想終わりー

珠子
『医学の知識さえあれば』
『私がユヅ姉様を治療できたのに・・・と』
『とても悔しく思ったのです』

そういった理由で、珠子は医者になると決めたのでした。

3人で布団を並べて寝る

最後の夜ということもあり、珠彦、ユヅ、珠子の3人で布団を並べて寝ることになりました。

珠彦は珠子の寝顔を見ながら思います。

珠彦
(珠子・・・僕にはお前の不安がわかるよ)
(でも、こんな時、兄として)
(どうすれば安心させてやれるのか)

珠彦は、ユヅに頭をなでてもらった時のことを思い出します。

珠彦
『・・・僕に足りなかったのは』
『こういう思いやりなんだね』
『もっと早くわかっていれば兄妹仲もよく』
『この上なかったろうに・・・』

神戸へ向かう珠子

次の日、駅で珠子とお別れです。

ユヅは珠子にお弁当をわたし、手紙を書きますねと伝えます。

そして、最後に珠子は、珠彦に伝えます。

珠子はあの時、起きていたのです。

恥ずかしくなって、顔を赤らめる珠彦。

こうして、珠子は汽車に乗って、神戸へと行ってしまいました。

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