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◆大正処女御伽話◆

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【最新】大正処女御伽話

暑い夏がやってきた

大正十一年の初夏。

夏は珠彦にとって一番苦手な季節。縁側で、珠彦は暑さに苦しんでいました。

珠彦
『暑い・・・・・』

ユヅ
『しかし、ここは山の中だけあって』
『朝夕はだいぶ涼しいですよ』

珠彦
『それなら昼間も涼しくあってほしいものだ』

お茶を持ってきましょうかと言うユヅは立ち上がり台所へ向かおうとします。しかし、クラクラとめまいがして、珠彦の方へ倒れこんでしまいました。

ユヅも暑さにやられてしまったのか、立ちくらみしてしまったようです。

珠彦は『無理をするな』と言います。

結局、珠彦とユヅはその場で寄り添い、ユックリと過ごすことにしました。

珠子がやってくる

そこへ、一人の来客が現れます。

?????
『ご・き・げ・ん・よ・う、珠彦お兄様』

いきなりやってきた珠子に、珠彦は不満を漏らしますが、珠子は『死人が何言ってるのよ』と一蹴。とても気の強い性格のようです。

珠子がユヅに御挨拶

珠子
『アナタが例の許嫁?』
『フーン、夕月だん・・・』

『大変ねこんなにお小さいのに』
『今、尋常(小学校の事)の何年生?』

そういって、ユヅの頭をなでなでする珠子。尋常と言われてショックを受けるユヅ。

実は、珠子はユヅよりも2つ年下だったのです。

分かっていながら『グサリ』と相手にとってきつい言葉を言ってしまう。珠子の悪いところです。

珠子がここに来た理由

家の中に入り、珠彦は珠子に『ここへ来た理由』を尋ねます。

珠子
『・・・女学校がつまらないからよ』
『何が高等女学校よ・・・』
『周りはちっとも優秀でなかったわ』

『それで行くのがバカらしくて学校を休んでたら』
『「珠彦みたいな事をするな」ってお父様に怒られて』
『それで家出してきたわけ』

『・・・疲れたので少々休ませていただきます。』

言いたいことを一方的に言って、珠子は自分のあてがわれた部屋へと行ってしまいました。

そして、食事も自分の部屋へ持ってくるよう、ユヅに言います。

ユヅのキャラメル作り

次の日。

珠子が食事を終え、食器を台所まで持ってくると、ユヅが何かを作っていました。

『ミルクキャラメル』です。ミルクキャラメルを手作りできることに驚いた珠子はそこで見学させてもらうことにします。

珠子
『夕月さんも甘い物好きなの?』

ユヅ
『好きですよ。』
『でもこれは珠彦様に作っているのです。』
『読書のお供に・・・と思って』

珠子
『よく他人のためにそこまでできるわね・・・』
『命令されたり特別の手間賃を貰ったりしたならわかるけど・・・』

珠彦にキャラメルをプレゼント

キャラメルが完成したため、それをもってユヅは珠彦の部屋へやってきます。

珠子もそっとついてきて、様子を見ています。

珠彦にとってもキャラメルは珍しい物であり、食べたことがありません。

それはいい機会だと言って、ユヅは『ア~ン』と言って、珠彦に直接食べさせてあげます。

ユヅ
『あっ指っお口の中にっ・・・あ・・・あ~~~っ』

珠彦
『なぜ君はいつもしでかしてから赤くなる?』

そんな中の良い二人を見て、珠子は言います。

珠子
『何よソレ』
『何が温かい味よ、ただの砂糖のカタマリじゃない』
『珠彦兄様も夕月さんもバカじゃないの』

そういって部屋から出て行きました。

一人で食事を続ける珠子

珠彦とユヅは二人で一緒に食事をとります。

しかし、珠子はいまだに自分の部屋で一人で食べています。

ユヅはそのことが気になり、珠彦に言います。

ユヅ
『珠子さん、よいのですかね・・・』
『でも・・・お一人はきっと寂しいですよ・・・』

珠彦は、ユヅが自分のもとに来る前の一人でいた頃のことを思い出します。

珠彦
『明日、一応誘ってみてやってくれ・・・』

ユヅ
『! はいっ』

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夜中のトイレ

夜中の3時ごろ。

外では激しい雨が降り続いていました。

珠子はトイレに行きたくなって目を覚ましたのですが、田舎のトイレは何だか怖くてずっと我慢しています。

しかし、どうしても我慢できず、隣の部屋で寝ているユヅを起こします。

場所がわからないということで案内させる珠子。怖いのかなと察するユヅ。

外の廊下側を歩き、トイレへ連れて行っているところ・・・・・

カッ、ドオオオオオン!!!!

ものすごいカミナリが近くに落ちました。

ユヅ
『びっくりしましたね』

そう言って、ユヅが振り向くと・・・・・

ユヅは慌てて珠子を風呂場へ何ないし、着物を脱がせ、水をかけ、湯船につからせます。

ユヅ
『さっ湯船へ』

珠子
『えっでもぬるい・・・』

ユヅ
『すぐに炊いてあげます!』

ユズは雨の中、必死になってお湯を沸かしてあげます。

人間は損か得かでしか動かないのよ?

しかも、私はアナタにヒドイことをしたり、言ったりしたのに

(してさしあげたいなって思ったら)
(この体が動いてしまうんです)

珠子
『ほんと・・・わけわからないっ・・・』

そういって、珠子は涙を流すのでした。

ユヅのことが好きになる珠子

次の日、珠子はユヅを追いかけます。

どうしたらいいのかわからず、珠彦の陰に隠れるユヅ。

珠子にとって、ユヅはとても素晴らしい存在に変わってしまっていました。そのため、ユヅの役に立ちたいと考えるようになったのです。

ところが・・・ユヅは急に体調を崩し、倒れてしまうのでした。

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