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◆大正処女御伽話◆

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2巻(9話・10話・11話・12話・13話・14話・15話16話
3巻(17話18,19話20話21話22話
4巻(23話24話25話26話27話28話29話30話
5巻(31話32話33話34,35話36,37話最終話

【最新】大正処女御伽話

いらない嫁といらない子供

志磨家にやってきて元気を無くしているユヅは、ろくに食事をとっていません。そのことを気遣い、珠央はユヅのためにリンゴを用意してくれます。

とは言っても、珠央はユヅには興味がありません。『珠彦のお下がり』というのが嫌だからです。

珠央
『いらなくなった嫁と、いらない子供』
『意外とお似合いだったりしてね』

ユヅ
『いらない子供?』

珠央
『俺ってさ、父さんの子供じゃないんだよね』
『だから珠彦と珠子とは』
『種違いの兄妹になるんだ』

『本当の父親は・・・・・』

それは震災の時にお世話になった、医者である珠彦の叔父さんのことでした。珠央はその叔父さんの子供だったのです。

珠央
『俺は顔も知らないよ』
『その人も俺が息子だなんて知らないだろうね』

大切な母さんが死んでしまった

お母さんは珠彦、珠央、珠子の3人を生みましたが、大切に思っているのは珠介(叔父)との間に生まれた珠央だけでした。

そんなお母さんは、2年前、珠彦の誕生日の日に珠彦と一緒に出掛け、交通事故で無くなってしまったのです。

自分にとって一番大切なお母さんが亡くなり、珠彦が生き残った・・・・・。理屈を抜きにして、珠央にとって珠彦は不満のつのる相手なのです。それが珠央が珠彦を嫌う一番の理由でした。

珠央
『今、珠彦が近くにいるみたいだよ』
『会いたい?』

ユヅは首を振ります。

珠央
『ふーん・・・・・』
『じゃ僕は珠彦兄さんにあってこよっと』

そう言って、珠央は部屋から出て行きます。

ユヅとの再会

ユヅは必ず屋敷のどこかにいる。そう確信している珠彦は屋敷の中を歩き回ってユヅを探します。

珠央
『いたいた、珠彦兄さん!』
『やーっとみつけましたよ』

『夕月さんを探しに来たのでしょう』
『僕が案内しますよ』

しかし、珠彦は不振がります。珠央が何か企んでいるかもしれないからです。とは言っても、珠彦は珠央について行くしかありません。

珠央
『俺にとって志磨の家の事なんて』
『どうでもいいよ』

『そんなことより俺は・・・・・』
『珠彦が全てを失くすところがみたい』

案内された部屋には、ユヅがいました。

珠彦の説得

珠彦が部屋に入ってくると、ユヅは隣の部屋へ行き隠れてしまいました。一緒に帰ろうと言う珠彦でしたが、ユヅはそれを拒みます。

珠彦
『聞かせてくれ』
『どうして僕に相談もせずに』
『急に出て行ったりした?』
『あんな手紙一枚で』
『僕が納得できると思うかね』

ユヅ
『私が・・・珠彦様から身を引かないと・・・』
『おっかさんとお腹の赤ちゃんが・・・』

珠彦
『君は借金の形で売られてきた』
『それでもう十分家族を助けたのではないのか?』
『それなのにまだ己を犠牲にするのか?』

『君はいつもそうだ』
『他人のことばかりで自分の事は二の次』
『他人が幸せなら自分も幸せ?』
『そんなわけないだろう』

『僕は志磨を捨てる』
『君を幸せにするという夢の為なら』
『僕は何でもする』
『僕らは同じ幸せの方へ向いているはずだ』
『だから、ここを開けて一緒に行こう、ユヅ』

珠彦はそう言ってユヅを説得します。しかし、ユヅはそれを聞き入れようとはしません。

ユヅ
『でき・・・ません・・・』
『それは、私がヒドイ女だからです・・・』

『珠彦様が他の女と結婚しても』
『私を忘れてほしくなかった』
『だからああしてヒドイ別れ方をすれば』
『珠彦様は私のこと忘れない・・・』
『ううん、忘れられないかなって・・・』

『こんなにお慕いしているのに』
『添い遂げることができないのなら・・・』
『憎しみ』
『悲しみ』
『どんな形でもいいから・・・』
『珠彦様の御心に残りたかった』

ユヅ
『ごめんなさい、珠彦様』
『ごめんなさい・・・』

ユヅはそういって泣きじゃくります。

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僕を殺せ

珠彦
(君と一緒になることができないなら)
(この先、僕は何を糧に生きればいいのだ)
(ユヅがいなくなってしまったら・・・)

(僕にはもう何もないじゃないか)

ユヅに拒絶されてしまい、絶望する珠彦。

珠彦
『珠央さ・・・』
『昔、珠彦が死ねばよかったっていってたよな』

珠央
『い、いってたけど・・・?』

珠彦
『じゃあ殺せよ』

珠彦はそう言って、果物ナイフを珠央ににぎらせ、刃先を自分の方に向けます。

珠彦
『ああ、早く刺せよ』

そういって、珠彦はナイフを自分の方に引き寄せ・・・・・・・、

そこへ割って入ったのがユヅでした。ユヅは珠彦と珠央が握っていたナイフをつかみ、床に落とします。

ユヅ
『・・・やまてくださいっ』

あまりの出来事に、少し放心状態になる珠央。

珠央
『な、何してんだよ!』
『今、ユヅが止めなかったら・・・』
『本当に刺さっ・・・・・』

珠彦はそれでも気にせず、ナイフを拾い上げるとまた自分の首元に・・・・・。

ユヅ
『やめてええ!』

珠央
『やめろよ!』

二人は必死に止めに入ります。

ユヅ
『どおして・・・死のうとするの・・・』
『私だって・・・本当は、本当は・・・』

ユヅ
『おっ母さんも大切だけど・・・』
『でも、珠彦様がいない人生なんて、もっといや・・・』

そう言って、ユヅは珠彦の胸の中で泣きじゃくります。

珠央
(力技で母親より自分を選ばせちゃったよ)
(無茶するなぁ・・・)
(結局、俺もユヅも負けたってことか・・・)

(珠代よりも、父さんよりも)
(俺はアンタのが怖いよ、珠彦兄さん)

そして、屋敷の玄関では、父親が帰宅し、使用人に迎えられていました。

使用人
『おかえりなさいませ』
『珠彦様がお戻りになってますよ』

父親
『・・・・・そうか』

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◆感想◆

今回、気のせいか珠彦が闇落ちしてきているような気がしなくもない状況となってきています。よく言えば、それだけの覚悟をもって行動している・・・という事なのだと思います。

これから、珠彦のハードでブラックな活躍が期待できるということなのでしょうかねぇ!?

◆珠央は神戸の叔父さんの息子

あまり意識してきませんでしたが、志磨家の子供は5人ですが、それぞれ、父母は微妙に違うようです。

まとめてみると

(長男)珠樹・・・父親?+母親1?
(長女)珠代・・・父親?+母親1?
(次男)珠彦・・・父親+母親2
(三男)珠央・・・叔父+母親2
(次女)珠子・・・父親+母親2

こういった感じになるんでしょうか。おそらく、父親は全員同じだと思われます。珠央は例外だったようですが。母親は珠樹と珠代だけ異なるってことだと思われます。

それにしても、叔父さんの子供を産んでいただなんて・・・昼ドラの展開になってきましたよ(笑)。

◆意外と冷たい感じのお母さん

回想シーンですが、お母さんが登場です。会話シーンは初ではないでしょうか。

この作品ではお母さんのことがなかなか話題として上がってきませんでした。そのため、作者さんは、お母さんを終盤の最重要キャラクターとして活用してくるのかなぁと考えを巡らせていました。

とは言っても、珠彦自信、死んでしまってもなんとも思っていないかのような雰囲気でしたからね。美化するような話としてもってくるのは無理があるかなぁとは思ってました。

しかし、志磨家はくんずほぐれつの人間関係ですね。闇が深いです。

◆作者さんは年を間違えているような気がする

第4巻の巻末に描かれている内容。

『3年』となっていますが・・・・・

・大正10年11月:ユヅがやってくる
・大正12年12月:誕生日でユヅが出て行く

となっていますので、実質2年しかたっていません。これは大正時代は『2年2ヶ月』程度でも『3年』と表現するってことなんでしょうかねぇ? 作者さんが、1年分間違えているんじゃないかなぁとも思えるんですよねぇ。

◆新展開突入とあるけれど・・・・・

今の話の流れだと『志磨家編』の終了で大正処女御伽話は完結・・・・・となりそうな気がしなくもありません。

表紙を見て思ったのが『新展開突入』の文字。終了をにおわせるなら『最終章突入』くらいにして注目を集めようとしてくるのではないかなと思えるんですよ。

そして『重版出来』です。頻繁に重版がかかっているようですし、今の状況なら、そう簡単には終了しないと思うんですね。

何より、この流れで終了してしまうと、色々と中途半端になってくると思うんですよ。

・まだ大正13年になったばかりで、大正は後2年ある。
(大正は15年12月25日まで)
・珠彦の学校生活は始まったばかり
・ことりと策が登場して間もない
・珠彦はまだ稼げる男になっていない

ですから私としては、おそらく志磨家編で中間地点なのではないかなと考えています。

後半の内容として

・珠彦の学校生活編
・珠子編
・リョウ編
・ことり、策編
・その他いろいろ

そして、一人前になった珠彦とユヅが結婚という流れで完結となる方がしっくりきます。

期待を込めて考えるなら、もしかしたらアニメ化の話が来ているという事なのかもしれません。志磨家編までを2クールで表現・・・・・という可能性もありえると思うんですよね。

◆珠彦を見ていて思い出す・・・

ダークゾーンに突入しつつある珠彦ですが、今回の珠彦を見ていて、10年ほど前にプレイしたギャルゲーを思い出しました。

内容は、一人のヒロインを、主人公と友人が奪い合うというもの。主人公有利で展開していたストーリーの終盤、友人は驚くべき奇策にでます。何と、ヒロインに対して『幼児言葉』などを使い甘えだしたのです。それも、人目もはばからず、公衆の面前で、堂々と。もちろん、世間、学校の皆からは白い眼で見られます。それでも構わず、友人はヒロインに対し幼児言葉で甘える行為をやめようとはしませんでした。

このような状況になってしまい、心優しいヒロインは責任を感じてしまいます。『自分のせいで彼はこんなことになってしまった』と。結局ヒロインは止める主人公を振り切り、情けない幼児言葉で甘えてくる友人を選ぶことにしました・・・・・。めでたしめでたし・・・・・というバットエンドです。

ぶったまげました。何と言っていいのやら。言葉に出来きません。

しかし、『好きな女性をものにする』という意味では、友人の取った奇策は成功だったという事になるのかもしれません。普通にやっていれば、絶対に付き合うのは無理な状況でしたから。

確か90年代中旬の作品で、タイトルは『ポートレイト』といったように思うのですが、よほどマイナーだったのか検索にヒットしません。中古で500円くらいでしたからね。彼女の性格をも見越したうえでの捨て身の行動だったんでしょうね。

今回、珠彦の行動を見ていて思い出したのが、その作品の友人、というわけです。まぁ、同一視するのもおかしな話ではありますが、『捨て身がかっている』という雰囲気が同じなので不思議と頭をよぎりました(笑)。

◆オリジナルで珠彦の闇落ち対決!

本編で珠彦が闇落ちっぽい展開になるのは想定外でした。実は、私が現在、オリジナルで書いてる内容も、珠彦の闇落ち物語となっています。

◆(前編)坊ちゃんなら大丈夫!
https://mangakansou.xyz/archives/7172
◆(中編)目を覚ました怪物!
https://mangakansou.xyz/archives/7509
◆(後編)尋常ではない!
https://mangakansou.xyz/archives/7885

よければ、ご一読くださいませ。

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